アナログメディア
世間ではデジタルメディアで騒々しいですが、点字というと、これは触って言葉を理解する言語ですから、アナログの原点というべきものです。当社が何故デジタル技術の塊のようなWeb自動組版で点字システムをつくったかという理由ですが、これはまあ、普通の、知識の無い人をヘルプするためにコンピューターがあるという原点回帰みたいな想いからです。普段から思っているのでが、コンピューターが効果を発揮するのは、下手ッピイにこそ効果がある。たとえば工場の技術で言えば、この道何十年のプロがコンピューターを使うより昨日入社したばかりの素人さんが上手に仕事ができるようにヘルプしてあげるほうが価値があると思います。クルマにしても、おそらく東京に住む人よりも田舎の住人のほうが価値があるように、開拓が進んでいない(田舎在住の方ゴメンナサイ)部分を機械がヘルプすると価値がでそうです。それで、点字という側面をもういちどみると、われわれのように点字を読めない人間はある意味、点字に対する文盲なんですね。よく後進国で識字率とかいいますが、私を含めて点字に関しては識字率が極めて低い。もちろん記述なんて程遠いです。
点字文盲がバリアフリーの準備をする
それなのにこれからの時代はバリアフリーだというのです。人の気持ちはその立場になってみないとわからないという事ですが、目にハンディキャップがある人の気持ちを汲んで、われわれが準備をすることはとても難しいです。何気に使っている毎日の生活の中の情報が得られない、そういう世界を創造しながら準備をしないといけないのです。しかも特別の扱いではなく。
情報を扱うことを職業とする身であって、こういうバリアフリーへの準備で私が貢献できるのは、とりあえず点字の分野でした。世間にはとても優秀な点字ソフトがあります。私がいる岐阜にも、岐阜大学の池田研究室というところでは非常に優秀なIBUKI10というフリーソフトを出しています。(本当は優秀化どうかすらわからないのですが・・)
しかし、ひとつ疑問であったのは、どうもこれらは盲人の方ばかりを対象にしているのではないか、ということでした。先ほどの話に戻ると、われわれは点字に関しては識字率ゼロの遅れた人間なのです。ごく当たり前に点字を扱うことができない、点字オンチの人間なのです。こういう人間が気軽に点字を扱うことができてこそ、社会のバリアフリーへの底上げができるのではないでしょうか。
Web点字自動組版+カラー印刷
実は当社はそれ以前からWeb自動組版システムを開発していたので、点字システムを設計することは、それほど困難ではありませんでした。トリッキーなプログラム技術を使用することもなく開発可能でした。問題はそれを全部のプロセスで実現することです。何せ印刷業界の付き合いがあるといっても、点字印刷はやったことがありません。もちろん点字の言い回しの仕組みとか、点字の言語ロジックも知らなかったのです。『おとうさん』というところは『おとーさん』と記述すべきだとか、それこそ目からうろこのような話も勉強しました。
さらに最新の機器を利用した環境と点字の印刷そのものをどのように組み合わせるか、これは難問でした。正直今でも全ての印刷物が点字である必要はないと思っています。必要な部数だけ点字があればいいのかと。さらに点字専用の印刷物ではなく、ごく普通のカラー印刷物と点字が一緒であれば本当のバリアフリーだという想いもありました。これが苦労の始まりです。
昨今の大半の点字印刷物は点字プリンターで処理されています。ドットインパクトプリンターの親分みたいなのです。これで処理すれば簡単だったのですが、カラー印刷物と点字をドッキングさせるには点字プリンターは不向きです。まず紙が不適合です。また点字プリンターは大半が伝票印刷と同様のトラクタフィード式で、とてもカラー印刷にはあいません。
仕方なしにわれわれはシルクスクリーンの方法を採用したのです。オンデマンド印刷でカラーを印刷した後にシルクスクリーンで点字をつける方法です。色々な問題がある方式です。ある一定の点字サイズ(点の高さも)を確保する技術も困難ですが、コストが高いことには閉口しました。今のところこれしか見当たらないので、誰かすばらしいインクジェット式の点字プリンターを開発してほしいです。
Web自動組版はこの仕組みにあわせて点字データとオンデマンド印刷用データの2種類を内部で生成しています。
一応の完成
このシステムもどうせつくるならということで、印刷物のサイズは特に制限なし。ページ数は24ページまで、という仕様にしました。ページ数が24ページもあるのは、メニューだとかアルバムだとか、ある程度のまとまったページもインターネット上で生成したかったからです。同時アクセスがあった場合に24ページも使っていたらどうなるかとか、システム的な問題もありましたが、今のところ順調に動作しています。逆に意識的にはずした機能もあります。たとえば面付け機能がそうで、普通のカラー印刷物であれば自動面付けまで進むのですが、点字レイヤーの面付けがいまいち不明なのではずしてあります。このあたりは今後の課題でしょうか。
それから言語処理がまだヒヨッコ状態です。色々な言葉を入力して、それがまともに動作するかどうかまだまだ不明部分があります。点字NPOの方に出来上がりを検査していただいてパスしているので、今のところは大丈夫のようですが、もし入力を間違えても入力した本人が確認しずらいという言語ですから、相当に強固な補助機能をもりこむ必要があります。
開発のオマケ?
今回、点字システムという、自分にとって日常的に意識してこなかったものをシステム化した結果、発想的にはオマケがずいぶんついてきました。たとえばシステム内部で点字は特色で扱っています。通常のカラー印刷はCMYKなのですが、それとは別に特色があるという仕様です。更にCMYKがオンデマンド印刷で特色部分がフィルムセッター経由のシルクスクリーンということです。自然にそうなったのです。
しかし、よく考えればこれが面白かった。特色コントロールがあれば、ラベルであろうがシールであろうが箔押しであろうが、何でも作れるのではないか、と気づいたことです。最近では刺繍もパソコン経由で動作しますから、、もう同じシステムでWebシールサイトも、Webラベルサイトも、それこそWeb看板サイト、Web刺繍サイト、WebTシャツサイトも、Web箔押しサイトも、Web表札サイトも何でもいけそうなのです。これはありがたい。
そのうち色々なバリエーションを出します。乞ご期待です。あ、それから実はこのシステムが超大手さんに売れそうなんです。感謝!!